2012-03-03

論文1本で博士号取得できるってホント?

数年前に学生から、「論文1本で博士になれるって本当ですか?」と聞かれたことがある。

答からいうと、「取れる場合があるのはホント」である。

博士になる最短コースは、「課程博士を期限内に取得する」ことだ。

というのは、最近(の理工系大学院)では、

「博士課程在籍中に主となって研究を行った査読付の論文が1本以上受理されている」

という条件で(課程)博士を与えるところが結構多いはずだ。
分野にもよるし、大学の研究科にもよるけれど、最低ラインはここだ。

え、たったの1本でいいの?!

と思う人は多いだろう。

もちろん、学位論文そのものは別途書かないといけないのだが、それは大した話ではない。文章(理学系だと英語だが工学だと和文の学位論文は珍しくない)が書けるなら誰でも書ける(指導教官を納得させる必要はあるが)。指導教官が相当頑張ってくれる(学生の立場から見るとどうだかわからないが、教員は結構頑張っていることが多い)というのもあるし。ここがクリアできない人は聞いたことがない。

1本でいいというのには理由がある。御存知の通り、論文の審査には長い時間がかかる。フルペーパーなら半年~1年程度待つことはごく普通だし(たまに1年以上かかることもある)、おまけに出版されるとは限らない。落とされる(rejectされる)こともよくある。採択率は、一般的にはハイレベルなジャーナルほど低くなる傾向があるが、だからといってほとんど素通りというようなジャーナル(あえて名前は出さないが、工学系でも98%位採択するジャーナルがある)ではさすがに評価されない。大学によっては重みをつけて評価しているところもあるようだが、大体は、審査する教員が、「このあたりなら文句はでないだろう」というあたりのジャーナルならOK。

採択率は分野によって違うが、例えば、私がよく投稿する電子情報通信学会の場合、30~50%程度のようである。従って、博士1年修了時に1本投稿できたとして、半年~1年で受理される確率は、30%~50%でしかない。リジェクトされ、それからもう一度チャレンジして採択されればなんとか博士課程の3年で1本が受理される計算になる。

というわけで、3年以内に1本受理される、というのが、まあ、最低ラインだよね、という話になる。もちろん、3年を超えても1,2年なら課程博士として取り扱う場合もあるのだけれど、学費も馬鹿にならないし、歳もとるしで、頑張れば3年以内に取得できるようにするという暗黙の了解があるわけだ。

分野によって違うが、工学系なら、これに加えて国際会議で1回以上発表すればいい(ちなみに、情報系だと国際会議の方が難しいケースが多いのだが)。

研究をガンガン推進している研究室だと、「流れで」論文が出て、すんなり取得できることが多いと思う。研究が滞っている研究室だと余計に苦労したり、取得できないこともある。もし、選択の余地があるのなら、指導教官(候補者)の業績リストをみて、論文の出版頻度の高い研究室を選ぶのがいいと思う。もちろん、専門分野&教授との相性というものもあるから一概には言えないけれども。

ちなみに、論文博士となると、取得期限がないので、ファースト3本~4本位を目安にしているところが多い。

以上はあくまで目安というか最低ラインで、大学院によっては基準がもっと高いところもある。その基準は必ずしも大学の偏差値に比例しているわけでもないのが面白いところなのだけれど。

ご参考まで。

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