2011-10-05

2011年度ノーベル化学賞(シェヒトマン)

ノーベル化学賞は、私の専門の一つ(quasiperiodic potential)と深く関係する仕事。スタインハートもほぼ同時発見だったはずだ。確か、シェヒトマンが11月12日付のPhysical Review Letters、スタインハートが12月24日付だったと記憶する。物理学賞だと思ったが化学だった。


 quasicrystalsというのは日本語では、準結晶と訳される。準結晶は、結晶(周期ポテンシャル)とアモルファス(ランダムポテンシャル)とは異なる第3の物質相である。準結晶はペンローズタイルパターンと呼ばれる不思議なパターンで原子が配列しているもので、美しく、そしてどこか奇怪である。
数学的には、エルゴード的ポテンシャルの枠組みに乗る。私が最初に書いた論文は、甲元真人氏の考案したモデル(Kohmoto model)に関するもので、これは後に準結晶のモデル(の一部)と考えられるようになったが、準結晶発見以前に発表されていた。
準結晶は特異な性質を示す。厳密な結果はほとんど1次元のモデルであるが、そのスペクトルは特異連続で、スペクトルは、カントール集合(フラクタル的なものだが、単純な自己相似性があるわけでもない)となる。スペクトルのルベーグ測度は0であり、点スペクトルは存在しない(ここはDelyon-Petritis, Kaminaga, Damanikの結果)。電気伝導に関しても特異輸送と呼ばれる不思議な挙動を示す。電気伝導度が極端に低いのに対し、熱伝導率が異常に高いのである。この話は、Bellissardらが研究して数学的にもjustifyされているものがあるようである。


最近はランダムポテンシャルばかり扱っているが、準周期ポテンシャルもたまには研究しようかな、と思ったりして。


本記事は急いで書いたので、間違いが含まれているかもしれません。断りなく加筆修正することがありますのでご了承ください。

5 October 2011

The Royal Swedish Academy of Sciences has decided to award the Nobel Prize in Chemistry for 2011 to

Daniel Shechtman
Technion - Israel Institute of Technology, Haifa, Israel

"for the discovery of quasicrystals"



プレスリリースはこちら


WikipediaよりZn-Mg-HoDiffraction

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