2011-09-08

概解析接続とHelffer-Sjöstrandの公式


以下の事実は一般にはあまり知られていないと思うので、何かの役に立つ人もいるかもしれないと淡い期待を持ちつつ。

作用素の函数を定義する方法にはいろいろある。例えば、フーリエ変換を用いるものとしては、
とすればいい。
しかし、この方法ではの近似作用素を作るのが難しいし、fへの制限もきつい。

現在、こうした制限を最小限(?)にするために、特によく用いられる方法は、概解析接続(almost analytic continuation(extension))を用いるものである。

に対して次のようなが存在したとする。



(for positive epsilon)
このときself-adjoint operator Aに対し、


が成り立つ。ここで、 である。この公式は、Helffer-Sjöstrand(エルフェール・ショストラン)の公式と呼ばれる。

証明は別に難しくはなくて、拡張されたCauchyの積分定理とスペクトル分解定理を使うだけである。この定理の系(というか同じように証明できるという意味)として、次もわかる。

上記の条件に加えて、で、

ならば、に対し、

が成り立つ。

これらの公式はAのレゾルベントで書かれているところがポイントである。レゾルベントの近似作用素を作るのは比較的容易だから、実用上大変便利である。

問題は、このようなFが存在するかということだが、それは次の補題で保証されている。

補題:とし、は、

を満たすとする。このとき、で、



を満たすものが存在する。であれば、となるように構成できる。
このようなの概解析接続という。

この結果は、
B.Helffer, J. Sjöstrand, Equation de Schrödinger avec champ magnétique et équation de Harper, Lecture Notes in Phys. 345, Schrödinger Operators, pp.118-197(1989)
で用いられたのが最初である。

細かいことをときどき忘れるので、覚書として。


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