2011-04-19

統計の本を書きました


講談社ブルーバックスより新刊を刊行します。タイトルは、『ウソを見破る統計学』。4月20日から書店に並ぶ予定です。
ウソを見破る統計学 (ブルーバックス)ウソを見破る統計学 (ブルーバックス)
神永 正博

講談社 2011-04-21
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この本のひとつの特徴は、大葉リビさんのイラストがあること。たとえば、こんな感じです。


特に今回は講談社のご厚意により、発売前に本書を一部公開しています。ブルーバックスでは初めての試みだそうです。よろしければ、以下のリンクからぜひご覧になってみて下さい。

講談社ブルーバックスの特設ページはこちら
下のリンクから、直接ダウンロードすることもできます。


前回のエントリでも書いたように、私は小学生時代からブルーバックスのファンで、700冊くらいは読んでいます。そのレーベルから一冊を刊行できるということで、気合が入りました。

統計はたいへん重要なものです。一見すると統計の本は巷にあふれているようにみえますが、まだまだ十分ではありません。例えば、本書で紹介した極値統計(関連エントリ)。

極値統計とは、最大値・最小値の統計のことです。「最悪の事態がどのような統計に従うか」を解析することができます。災害対策、製品の安全限界などを考えるときには欠かせません。

今回の原発問題、津波の被害を考慮すると、その重要性がよくわかります。にもかかわらず、いまだに極値統計の日本語の専門書はありません(Colesの有名な教科書すら訳されていません!)。まして一般向けの入門書となると、一冊もないのです。

普段から統計に接し、統計で遊び、統計を疑い、そして統計を有効利用するような教育が本当に必要です。多くの人が統計を理解し、活用してくれるようになれば素晴らしいことですし、政治家にもぜひ学んで欲しい。本書が少しでも日本の統計教育の役に立つことがあれば、心からうれしく思います。

はじめに 3

第1部 統計の基本にストーリーあり 11
第1章 ボーナスが高い会社を狙え 13
平均のウラの顔 17
外れ値 18
100万円なんてはした金 20
第2章 間違いだらけの学部選び 23
隠された情報 27
混ぜるな、危険! 28
高齢出産のリスク 30
第3章 本番に強いのはどっちか 34
バラツキを測るには 36
平均偏差・標準偏差・分散 38
なぜ標準偏差が使われるのか 39
たまにだけれど役に立つ 41
第4章 その数学が就職を決める 43
散布図 48
相関いろいろ 49
男が太れば、女はやせる? 52
第5章 テストの合否を推定せよ 55
分布が出てくるメカニズム 63
二項分布から正規分布へ 64
合否を分ける天王山 66
区間推定と誤差 69
歪みのチェックをお忘れなく 73
第6章 投資でウソをつく法 75
分散投資って何だっけ 81
ノーベル賞受賞者の頭の中 82
バラツキが小さくなるとは 83
効率的フロンティア 85
うますぎる話にご用心 87

第2部 隠れた関係をあぶりだす 89
第7章 麦酒研究部はB型王国 91
無に帰したい仮説 98
観測度数と期待度数 99
私たちってズレてるの? 100
カイ二乗値のパートナー、自由度を求める 102
P値はコーヒー? 105
5%は仮説 106
血液型性格診断を信じますか 107
第8章 大人の事情 110
カイ二乗検定リターンズ 114
正常と異常をわけるもの 116
補正前、補正後 118

第9章 肉で勝つ! 122
意外な関係をあぶりだす──回帰直線 127
R2値 128
うわべだけの関係 130
重回帰分析 131


第10章 長生きできる国、できない国 133
曲がった関係を分析する 135
直線回帰にハマらない場合 137
BMIの起源 139
がんばらないほうがトクをする? 140
意外なことが寿命をのばす 142
第11章 男と女の分かれ道 144
川の流れのように 150
検定あれこれ 151
ビールを美味しくするt検定 153
まずは使ってナンボ 155

第3部 統計の深遠なる世界 157
第12章 物語で人は動く 159
ポアソン分布 164
馬に蹴られて亡くなった兵士の数 166
事件は続く 169
サポートセンターを効率化 170
待ち行列理論 172
上手にお客さんをさばく術 174
第13章 庶民の世界 177
日本人の所得分布 179
対数正規分布 181
コツコツ稼ぐ人たち 183
第14章 お金持ちの世界 186
べき分布 188
勝負をかける人たち 191
ブレーキのないF1レース 193
第15章 株価の分布は取扱注意 195
値動きの法則 200
株価のモデルを考えるには 201
市場にひそむ魔物の正体 203
想定内の大暴落 205
シェルピンスキー・ガスケット 207
第16章 世界記録はどこまで伸びるか 210
しっぽをつかめ! 213
トリニティ定理 215
予測できること、できないこと 217
ワイブル族の大予言 220
第17章 世界は分けようとしても分けられない 222
金融危機のカラクリ 227
山火事のめぐみ──反比例の法則 229
スモールワールド性 232
科学者的進化論 236

謝辞 237
注 238
さくいん/巻末

2 コメント:

木村邦博 さんのコメント...

 神永先生、遅ればせながら、『ウソを見破る統計学』のご出版、おめでとうございます。ブルーバックスはやはり特別ですよね。
 拝読させていただきましたが、基本的なことにもかかわらず他の本ではあまり書かれていないトピックにもしっかりと触れられている点が、特に印象に残りました。図をうまく使われているところも、わかりやすくてよいと思いました。
 あるいは、本書の中で説明を詳しくするところと、思い切って説明を他の本に譲るところとの割り振りで、ご苦労されたのではないかと拝察しております。しかし、巻末の注がしっかりしているので、本書で省略されたところはこの注にあげられた文献に当たればよいということがわかり、親切だと思いました。
 好評のようですが、ロングセラーになることをお祈りしています。

Masahiro Kaminaga(神永正博) さんのコメント...

木村先生、ご無沙汰しております。ブログにコメントいただきありがとうございます。なぜかスパムに分類されており、先ほど気づきました。拙著をお読みいただきありがとうございます。ブルーバックスは憧れのレーベルでしたから感無量です。

どこで線引きをするかについては、私自身の判断もありますが、やはり編集者さんの意見が重要でした。また、神林先生と東北大の塩谷さんのコメントで構成が大きく改善されています。本当にありがたいことだと思っています。