2009-10-31

Caught by disorder

ここ数日、時間を見つけてStollmanのCaught by disorderを眺める。証明を理解するだけならどうでもいいことかもしれないが、ランダムシュレディンガー作用素のスペクトル(エネルギー準位)のボトムにおけるIntegrated Density of Statesの特異な振る舞い(Lifshitz tail)というのは、一種の極値分布の話であることに気付いてちょっとうれしい。適当に馬鹿だと長く楽しめるというか。

それにしても、 Caught by disorderっていうのは実にうまいタイトルだと思う。この本は、Anderson局在と呼ばれる、電子がランダムポテンシャルにトラップされて動けない現象の数学的証明を扱っているので、実に的確でいい感じのタイトル。この現象と電気伝導度の関係を昔調べて論文を書いた(ようするに電気が流れないということだが)。

Anderson局在では、エネルギーが小さくランダムネスが高い(ランダムポテンシャルのカップリングコンスタントが大きい)ところで起きる現象だが、エネルギーが高い場合や、ランダムネスが小さい場合に「絶対連続スペクトル」が現れるということはまだ証明されていない。最近の進展をちゃんとフォローしていないが、まだ手がかりさえつかめていないと思う。物理的には、エネルギーが高いか、ランダムネスが小さいと電子は散乱状態(ブロッホ状態に近い?)になるということだが、数学的には大変難しい問題なのだ。

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