ワイブル分布の導出についても質問されましたが、もともとワイブルの論文には導出プロセスが書いてありません。ちょっと面白いので紹介しましょう。
ワイブルの原論文(Waloddi Weibull, A Statistical Distribution Function of Wide Applicability, ASME Journal of Applied Mechanics, Trans. of the American Society of Mechanical Engineers, September 1951, pp.293-297.)によれば、これは純粋にエンジニア的観点で出てきたもの。
ワイブル分布を導入する動機はエンジニア的にはとても明解。
統計をちょっとでもかじった人なら、分布関数(distribution function)という概念は覚えているでしょう。確率変数Xが、x以下(未満にしても本質的な変更はなし)の確率F(x) = P(X≦x)のことです。そのとき、
F(x) = 1 - exp(-φ(x))
という関数φが定まります。おそらく、念頭に、指数分布の分布関数1-exp(-x/μ)があったんだろうと勝手に想像します。指数分布のときは、φ(x) = x/μになります。
さて、ワイブルは、この論文の導入で、n個のリンクがある鎖を考え、これが切れる確率について考えています。これは最も弱いつなぎ目(the weakest link in the chain)が切れる確率だから、single linkの切れる確率が、上の形をしている場合、求める確率Pnは、
Pn=1-(1-F(x))n=1-exp(-nφ(x))
という簡単な形になる。
では、φ(x)としてどんな形を考えればいいのか。ワイブルは、突然、
φ(x)=((x-xu)/x0)m
という形(論文とはちょっと違うけど、referee(?)に、typo?と指摘されているので修正してある)が簡単でいいじゃないか、理論的な根拠はないけど、現実とはよく合うのだ!と主張し、7つの例を挙げています。
1. Yield strength of a Bofors steel
2. Size distribution of fly ash
3. Fiber strength of Indian cotton
4. Length of Cyrtoideae
5. Fatigue life of St-37 steel
6. Statures for adult males, born in the British Isles
7. Breadth of beans of Phaseolus Vulgaris
よくわからない専門用語がでてくる。Bofors steelは、ヴォフォース鋼というもので、ここでは、その降伏強度を調べています。4番目のCyrtoideaeというのは貝の一種のようですが、イメージがわかないなぁ。
とはいえ、ワイブル分布はいたるところに現れる重要な分布で、ワイブルの直感というか、エンジニアシップには脱帽せざるを得ません。
個人的には、理論的基礎はともかくデータはそうなってるのだから、理屈もデータに合うべきだという哲学には共感しますね。データが先だよ、統計は。
1 コメント:
統計学を勉強中のものです。
ワイブル分布の、平均と分散の導出過程を教えてください。自分の数学能力が低くて困っています・・・。
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